【高校野球・注目校 監督インタビュー 國學院久我山[後編]】東大にも選手輩出…勉強での進学が「圧倒的に多い」 文武両道掲げる強豪の“緊張感”
春夏通算7度の甲子園出場を誇る國學院久我山(東京)は、限られた練習スペースと練習時間でありながら、2022年選抜ではベスト4入りを果たすなど、都内有数の強豪校として知られる。勉学も重視し、OBからは東大合格者も輩出。「考える野球」を掲げる尾崎直輝監督に指導方針などを聞いた。
――文武両道を象徴するように、2022年選抜でチームを4強に導いた松本慎之介投手が、一浪の末に東大へ合格しました。
「野球部から東大に進学するのは2人目です。彼は努力の人間です。1年生からずっと主力だったわけではないのですが、しっかりと積み重ねていって、140キロ近いボールを投げるまでになりました。甲子園に行った時も、3枚いる投手の中で、彼も頼りになる投手でした」
――どういった進路指導を行っていますか。
「野球部としてはスポーツ推薦で行く子たちをフォローしていますが、勉強で行く子たちの方が圧倒的に多いです。私が國學院大出身なので、宣伝はしますけど、彼らが目指すものは多様でして、進学への意欲は高いです」
――指導方針について教えてください。
「優しいだけでは選手は強くなりません。緊張感を与えることは大事です。僕は最初、付属の幼稚園の事務職で入って、野球部の監督をやっていました。幼稚園で今も体育を受けもっていますけど、ダメなことはダメだよ、と気づかせるようにしています。ティーボールなどで野球の普及活動もやっているので、ゆくゆくはその子たちが高校で帰ってきて、一緒に甲子園に行くのが夢です」
――2021年にはイチローさんが来校し、臨時コーチを務めました。印象に残っている言葉などはありますか。
「イチローさんでもプレッシャーを感じて球場に行くのが怖い時があったと仰っていました。チームの中で一番良かったことは、取り組んでいる全てを承認してくれたことです。ウチは場所が限られているので、バックネットに向かって3か所でやるバッティング練習があるんですけど、『この練習、すごくいいよ。横にネットが置いてあるから、センター返ししかできない。これでフルスイングができるようになったら本物だね』と。『久我山がこんなに練習するとは思ってなかった』とも言ってくれました」
――監督から質問したことはありますか。
「練習でも、中身のあることだけをやらせないといけないと思っていたんですけど、いつも通りにやって、そしたら『よかった』という言葉もいただけたので、ありのままでいいんだと」
――東北や仙台育英、國學院大で名将として鳴らした竹田利秋さんが練習を手伝っています。
「竹田先生は私の指導の考え方の礎を作ってくださった方です。83歳にして、先生が一番勉強されています。私が監督になったタイミングで学校側が呼んでくれたんです。最初は、こちらも恐れ多くてなかなか質問できませんでしたが、コロナ禍の期間によく電話して、その時に竹田先生の野球を見るポイントがちょっとずつわかってきて、野球が面白くなってきました」
――行き着く理想の野球を教えてください。
「データに頼らなくても、見て、感じて、動いた先がデータと全く一緒だったというのが理想です。相手のことばっかり気にしているうちはたいしたことはないし、トップに立つ人たちは、自分たちの最高のパフォーマンスをすれば勝てるというのがわかっています。選手たちが持っているものを全て出した先に、甲子園優勝がつかみ取れるようなチームを作り上げたいですね」
【高校野球・注目校 監督インタビュー 國學院久我山[前編]】“分刻み”の練習で勝てず…選手信頼して甲子園へ 「環境を目一杯使うことを考えて」
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