メジャー投手を育てた名コーチが指摘するNG指導 「すごく危険」と強調する“当てはめ”
■鷹投手コーチ・倉野信次氏が語る選手の「才能の磨き方」
現在、ソフトバンク1軍投手コーチの重職を担っている倉野信次氏。2009年から13年間ソフトバンクのコーチを務め、千賀滉大投手(現メッツ)らを育てた。2022年にはレンジャーズ傘下のマイナーチームにコーチ留学し、翌2023年に正式なコーチに就任したが、今季古巣から請われて現職に就いた。動画内で、その指導論を語っている。
【全指導者必見】千賀滉大らを育てた名コーチが大切にする「長所を伸ばす」と「タイプの把握」
倉野氏によると、コーチングに大切なことは2つある。まずは“長所を伸ばす”意識を持つことだ。指導者はともすると、選手の短所に目が行きがちだが、「短所を指摘し続けていると、長所が減り、やがて消えていってしまう。僕はそういうケースをたくさん目の当たりにしてきました」と声を張る。
「僕がコーチになってからやっているのは、まず『この選手の長所は何か』をよく観察することです。見つかれば、それを本人に伝えます。『あなたの長所はこれです。一緒に磨いていきましょう』という話をするのです」とノウハウを明かす。
「長所が伸び切った後」に、短所を改善する段階に進むが、そこでも「もし短所を改善する中で、長所が薄れるようなら、僕は短所の改善をいったん中止します」と釘を刺す。「短所が隠れるくらい長所が前面に出れば、勝負に勝てたり、目立てたりして、オンリーワンの武器をつくれるのです」と強調した。
2つ目に大切なことは、「その選手がどういうタイプなのかを把握した上でアプローチすること」だという。一例として「昔は、インステップする投手は理にかなったフォームではないと、とらえられていました。しかし実は、インステップでないと力をボールに伝えられない投手もたくさんいます」と指摘する。
「人それぞれ、体の使い方、筋力、体型、骨格など、何から何まで違う。それぞれに合わせたアプローチをしていくべきだと思います」と語り、「一番悪いのは、コーチが自分の経験や感覚だけで理論をみんなに当てはめていくこと。すごく危険です」と警鐘を鳴らす。
そして2つの大切なことを念頭に、効果的にコーチングを行うために求められるものについて、立板に水を流すように説明していく。倉野氏の下で、好投手が次々と育つのもうなずける内容だ。
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