【高校野球・注目校 監督インタビュー 日大二[前編]】 週休2日制導入、動画活用…生まれた“余白”で人材育成を 「Z世代」を伸ばす指導法
“大谷世代”の青年監督が、高校野球界に新風を吹かせている。春夏6回の甲子園出場を誇る日大二(西東京)を率いる齊藤寛文監督は、2023年1月に監督に就任すると、週休2日制を導入や、SNS・動画の有効利用など、時代に合わせた指導を行っている。昨秋の都大会では33年ぶりとなる4強進出。注目校の指揮官に、指導方針などを聞いた。
――就任から2年目のシーズンを迎えました。ご自身の現役時代と比べて、今の選手との違いは感じていますか。
「私が現役の頃は、気合を入れて一生懸命やるだけでした。彼らは『Z世代』と言われている世代なので、ここに適合した指導というのが、すごく大事になってきます。私とも全然違うので、40代、50代の方からすれば、もう未確認生物くらいの感覚だと。でも主役は彼らなので、どうもり立てていくかを考えながらやっています」
――日大二を卒業後、1年浪人して中央大に入学、学生コーチとして母校を指導していました。
「野球を続けたいと思ったこともありましたけど、学生コーチの経験は大きかったですね。野球の枠だけにとどまらないということを意識しています。人材育成の観点からいうと、野球の指導者の方だけではなく、経営者の方にもどんどん会いにいってお話を聞いたりしています」
――監督就任当初から週休2日を取り入れたり、朝練を禁止したりと、独自の改革を行っています。
「働き方改革の一環ということで学校からの話もありました。今は会社も週休2日で、朝早く来て仕事をせず、残業もしないで成果を出さないといけないじゃないですか。野球界にもその波は来ると思っています。週休2日にすることで、出てくる“余白”が考えることにつながり、選手たちが社会に出てからも、伸びる人材にしてくれると思っています」
――練習時間はどのくらいですか。
「杉並区にある学校での授業が終わると、電車で1時間ほどかけて立川市内にある野球部のグラウンドまで移動します。なので、平日は夕方4時くらいから始まって2時間くらい。土日も大体5、6時間といった感じです。」
――限られた練習時間の中でどのような指導を心がけていますか。
「朝のミーティングとかも極力、心の持ち方や、練習や試合のテーマなどといった大切な話だけにして、事務的な連絡などはLINEでやっています。あと、自分が教えたいことは全部YouTubeに上げて、言いたい時にはそれをリンクに載せています。今の子たちにはそっちの方がいいような気がします。しかも、これは前にも載せていたから大事なことだよな、と選手たちも何度も見返すこともできます。Z世代は動画から吸収する力が非常に高いと感じています」
――昨年の監督就任時から、アマ野球界での経験が豊富な坂東寿彦さんを助監督として迎えられました。
「優勝への逆算人事です。坂東さんは東海大相模、東海大で日本一になられて、いすゞ自動車でも活躍された方。年齢は40歳離れていますが、しっかりと信頼関係を作り、自分が監督になるタイミングでお声がけさせていただきました」
――坂東助監督の教えで印象に残っている言葉はありますか。
「監督がやる仕事は投手継投とスクイズのサインだけだと。そこだけ考えているチーム、監督でないと組織ができていないし、選手も育っていないということです」
――昨秋の東京都大会で4強と着実に力をつけてきています。
「昨秋はうまくいったと思いますが、(準決勝の)創価さんの時は自分たちの良さを出すことができず、相手の力を出させてしまいました。ただ、本当に紙一重だと思います。秋の成績は関係なく、チャレンジャー的な立ち位置で臨みます」
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