プロも苦手な“眼”の動かし方 打撃レベルに影響も…練習次第で「伸びしろになる」

プロも苦手な“眼”の動かし方 打撃レベルに影響も…練習次第で「伸びしろになる」

■首位打者も実践…野口信吾氏が説く“眼”のトレーニングの重要性

 

 体は動いても眼の衰えで現役を退くプロ野球選手がいるほど、野球において「眼」の働きは大切になる。2022年、パ・リーグ首位打者のタイトルを獲得した日本ハム・松本剛外野手らをサポートするスポーツビジョントレーナーの野口信吾氏が29日、野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」オンラインイベント「大人のための少年野球塾2023」に登場した。眼の強化をパフォーマンスアップのポイントに挙げ、「プロ野球選手も意外に使えていない」と指摘した。

 

 野口氏は少年野球からプロ野球まで、これまでに600人以上をサポートしてきた。計12人の“凄腕コーチ”を招いて5夜連続で開催されているイベントの3日目に講師を務め、野球における眼の可能性を語った。

 

「指導する前、プロ野球選手はすごく眼の使い方がうまいと思っていました。ところが、数多くのプロ選手の眼の使い方をチェックすると、意外と使えていません。最近は投高打低と言われ、投手のレベルアップに打者が追いついていない状況が指摘されています。眼は成長のポイント、伸びしろになると考えています」

 

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 野口氏はイベントで、眼と首の関係性について解説した。首の後ろに両手の指を2、3本当てて眼を前後左右に動かすと、首の筋肉が動いているのが指に伝わってくる。また、眼に力を入れて首を左右に動かした時、眼をリラックスした状態でゆっくり動かした時と比べて首の可動域が狭くなるのもわかる。

 

 つまり、眼と首は連動しているのだ。野口氏は「眼が柔軟に使えないと、首が固まってうまく動かせなくなります。打撃であれば、眼が使えていないと、テークバックをとった時に首が入ってしまいやすくなります。首が動くと頭もブレるので、投球の見え方が変わってしまいます」と解説した。

 

■真面目な選手ほど眼に力み…野口氏は“お手玉”を推奨

 

 

 野口氏は、眼の使い方を鍛えるために様々な種類のストレッチを考案している。プロ選手にもストレッチを指導。首や頭を動かさずに眼だけを動かせるようになると、ボール球に手を出す確率が低くなるデータも出ているという。

 

 小・中学生を指導していると、真面目な選手ほどしっかり球を見ようとして、眉間にしわが寄るくらい眼に力を入れる傾向があると感じている。眼がリラックスできていなければ首が固まって動きが悪くなり、パフォーマンスも落ちてしまう。

 

 そうしたタイプの選手に野口氏が勧めるのは、両手でのお手玉。左右の手で球を1つずつ持ち、同時に2つの球を真上に投げてキャッチする。眼に力を入れて1つの球を見過ぎるとうまくいかないため、ぼんやりと2つの球を眼で追うようにする。プロでも苦手な選手がいるという。

 

 野口氏は、球技の中で野球が一番難しいと考えている。例えば、年齢の高い人や未経験者がラケットにボールを当てる動きと比べて、バットで投球を打ち返すのはハードルが高い。18.44メートルの距離で投球は変化し、打者は道具を扱う難しさもある。

 

 野球経験者であれば、野口氏が指摘する眼の影響の大きさに納得できるだろう。少年野球のうちから眼の重要性を意識するだけで、先のステージでの成長は変わってくる。

 

(間淳 / Jun Aida)

 

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