少年野球で根深い“指導の勘違い” 不可欠な根拠ある理論…ヒット増やす理想のスイング

少年野球で根深い“指導の勘違い” 不可欠な根拠ある理論…ヒット増やす理想のスイング

■野球スキルコーチの菊池タクト氏「ミートの確率上がるレベルスイングが理想」

 

 日本語で「平行」を意味する「レベル」。少年野球では、「レベルスイング」がバットを地面と平行に振るスイングと誤解されているケースが少なくないという。野球スキルコーチの菊池タクト氏が1日、野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」のオンラインイベント「大人のための少年野球塾2023」に出演。レベルスイングは、上から叩くダウンスイングよりも安打が出やすい理由を解説した。

 

 最近は減ってきているものの、少年野球では「上から叩け」という指導が根強く残っている。米国で野球指導を学んだスキルコーチの菊池氏は、“凄腕”コーチ12人による5夜連続のイベント最終日で講師を務め、上から叩くスイングのデメリットを語った。

 

「上から叩こうとするとバットのヘッドが高い位置から出てくるので、投球をとらえるポイントが投手寄りだけになってしまいます。一方、ヘッドを下げた状態でスイングすると、捕手に近い位置でも捉えられるのでバットにミートする確率が上がり、飛距離も伸びます」

 

【無料|菊池タクト氏出演】レベルスイングを身に付ける 「年代別打撃向上ドリル」

 

 菊池氏はレベルスイングを打撃の理想とする。ただ、「レベル」はバットの軌道を地面と平行にするわけではない。菊池氏は、両肩を結んだラインとバットの軌道が平行になるスイングを指している。

 

 前傾姿勢を保ったままスイングすると、肩のラインがバットの軌道が平行になり、バットのグリップはヘッドより高い位置にくる。このバットの角度が打球の角度を生み、ライナー性の打球につながるという。打球に角度がつくと、なぜ安打の確率が上がるのか。菊池氏は小学生に、こう説明している。

 

「野球は外野の方が内野より広いのに、守備の人数は少なくなっています。外野に打球を飛ばせば、安打になりやすいわけです。ゴロで内野手の間を抜くのではなく、低いライナーで内野手の頭の上を越す打球を増やす指導をしています」

 

■ダウンスイングから急に変えるのは「感覚がずれる恐れ」

 

 レベルスイングを身に付けるため、菊池氏が取り入れているのが多種多様なドリル。反復することで、自然と打球に角度をつける体の使い方を覚える目的がある。

 

 イベントではティースタンドやチューブなどを使ったドリルを紹介し「ずっとダウンスイングだった選手が、急にバットの軌道を変えようとすると感覚のずれが起きてきます。スイングを一から変えるのではなく、ドリルをこなしてスイング軌道を少しずつ理想に近づけていきます」と説明した。

 

 野球の理論や練習法はアップデートされている。昔ながらの方法を全て変える必要はないが、指導を更新しなければ、子どもたちが野球の楽しみを感じる機会を奪ってしまう。

 

(間淳 / Jun Aida)

 

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