片足でフラつく選手…本当に「体幹が弱い」? 悩み解決を妨げる“言葉”の落とし穴
■トレーニングコーチ・塩多雅矢氏が重視…「野球の言葉で説明する」大切さ
野球のパフォーマンスアップのキーワードとして挙げられることが多い「体幹」。実は体幹とは何なのか、鍛えるとどんな効果を得られるのか、意識をしていない指導者は少なくない。野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」が28日、「大人のための少年野球塾2023」を開催。講師を務めたトレーニングコーチの塩多雅矢氏は、体幹強化をはじめ、トレーニングの目的を明確にしないと選手の喜びにはつながらないと強調した。
片足で立った時にフラフラする選手に対し、「体幹が弱い」と表現する指導者や保護者がいる。塩多氏は体幹のトレーニングをする前に、強化する理由を明確にする必要があると考えている。5夜連続で開催される“凄腕コーチ”によるイベントで、こう話した。
「フラフラする状態はどんなデメリットになるのか、選手には野球の言葉で説明しないといけないと思っています。片足でうまく立てない原因は、足首、股関節、腹筋と様々考えられます。その選手の原因が『体幹にある』と明確にした上で鍛えないと、本来は“手段”であるはずのトレーニングが“目的”になってしまいます」
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野球は片足で立つ動きが多い。例えば、投手が軸足1本で立つ時にバランスを崩せば力が逃げてしまい、投球に力強さを欠く。
その課題を解決するための手段に、トレーニングがある。片足で真っすぐ立つことができればパフォーマンスが上がるからこそ、トレーニングの理由が生まれるのだ。塩多氏は「“目的”と“手段”が逆転しないようにしてほしい」と訴え、投球フォームに悩む選手の例を挙げた。
「フォームを直している投手は元々、球速を上げたい、コントロールを良くしたいといった悩みがあったはずです。ところが、球速や制球力は上がっているのに、理想の投球フォームにすることが目的になってしまうケースがあります。体幹トレーニングにも同じことが言えます」
■腹圧を上げる感覚を身につけることで「体幹トレーニングにも生きる」
また、塩多氏は「体幹」の定義をはっきりさせる大切さも説く。体のどの部分を意識するのか理解してトレーニングした方が、効果は大きくなる。
塩多氏が体幹という言葉を使う時は「腹圧」を指す。お腹に風船が入っており、お腹の圧力を上げて風船を膨らませるイメージだ。圧力が下がれば風船の空気が抜けて、体は丸まってしまう。姿勢が悪くなれば力は入らない。塩多氏は「腹圧を上げる感覚が身につくと、体幹トレーニングにも、その他にも生きてきます」と語った。
(間淳 / Jun Aida)
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