小柄でも150キロを投げられる理由 ライバルと差がつく要素…柔軟性は「裏切らない」

小柄でも150キロを投げられる理由 ライバルと差がつく要素…柔軟性は「裏切らない」

■野球塾運営する長坂秀樹氏…現役時に米国の独立リーグでプレー

 

 努力が野球の結果につながるとは限らない。だが、継続すれば必ず変化や成果に表れることがある。神奈川県藤沢市で野球塾「Perfect Pitch And Swing」を運営している長坂秀樹氏は、「ストレッチは裏切らない」と力を込める。First-Pitchでは、少年野球の現場を知る“凄腕コーチ”12人に取材。長坂氏は、自身が現役時代、身長168センチと決して大きくはない体で最速152キロの直球を投じ、米国の独立リーグでもプレーした理由の1つに、体の柔軟性を挙げている。

 

 運営する野球塾で小・中学生も指導している長坂氏は、「野球は夏のスポーツでもあるし、冬のスポーツでもある」と選手たちに伝えている。冬場は公式戦がないチームが大半を占めるが、過ごし方次第で野球が上達する時期にもなるという。

 

「少年野球ではシーズン中、練習試合も含めて試合が続いて、練習する時間が短いと聞きます。試合が減る冬場は肩や肘を休ませる機会でもあり、自分の体を操るトレーニングに特化できる時期でもあります。地味なプログラムをコツコツと続けられる選手は、この時期が成長できるチャンスです」

 

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 長坂氏は冬の期間、野球用具を使わないプログラムを組む。中でも重視しているのがストレッチ。「野球をしていると努力が裏切られることは少なくありません。ただ、ストレッチは続けていれば必ず結果が出ます」と語る。体の柔らかさには個人差があるものの、ストレッチを継続すれば誰でも柔軟性がアップするという。

 

■怪我予防だけでなくパフォーマンスアップにもつながる柔軟性

 

 長野・東海大三(現・東海大諏訪)のエースとして甲子園に出場し、大学卒業後は世界4か国でプレーした長坂氏は、現役時代からストレッチを大切にしてきた。速い球を投げるには身長が高く、腕が長い方が有利になる。腕が長ければ腕を加速させる距離も長くなるため、より強い力を投球に伝えることができる。

 

 当然、トレーニングで身長や骨は伸ばせない。長坂氏は長身の選手との差を埋めるため、体を柔らかくして可動域を広げようと高校生の頃から考えていた。柔軟性は怪我の予防だけではなく、パフォーマンスアップにもつながる。

 

「身長が低い選手は頭を使って効果的な練習をしていかないと、身長が高い選手には勝てません。子どもたちは、身長190センチの投手が150キロの球を投げることに驚きませんが、身長168センチの私が150キロの球を投げていたことには興味を持ちます。そこには理由があるからです。身長が低くても速い球を投げるには柔軟性が必要で、私はストレッチを欠かさなかったことを選手たちに伝えています」

 

 そして、小・中学生がプロ野球選手に勝てる唯一の要素が柔軟性だと話す。「最も体が柔らかいのは赤ちゃんです。プロ野球より赤ちゃんに近い小・中学生は、ストレッチを継続すればプロより柔らかくなるはずです。上のレベルを目指す選手は、シーズンオフにこそ柔軟性を磨いてほしいと思います」

 

(間淳 / Jun Aida)

 

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