練習でヘトヘト→ご飯食べない“悪循環”断つには? 管理栄養士が教える効果的な「分食」法
■渡邊元美さんは2018年まで横浜高の寮母 息子・佳明氏は楽天でプレー
子どもの食が細い。野球ママから寄せられる悩みで圧倒的に多いという。横浜高の野球部寮で20年以上も寮母を務め、母親としても息子をプロ野球選手に育てた管理栄養士の渡邊元美さんも同じ悩みに直面した経験がある。自身の経験から「分食」と「見せ方」をアドバイスしている。
渡邊さんは2018年まで22年間、全国屈指の強豪校・横浜高の野球部寮で食事を作っていた。そして、寮母をしながら楽天でプレーしている佳明さんを育てた。
佳明さんは現在、身長180センチを超える。しかし、子どもの頃は小柄だったという。中学に入学した時の身長は148センチ。所属していた横浜市の硬式野球チーム「中本牧シニア」には、20センチ以上背が高いチームメートもいた。渡邊さんは当時の悩みを明かす。
【無料動画】148cmだった息子がNPB選手へ 渡邊元美さんも悩んだ「成長期を迎える選手との関わり方」
「体格差があって、息子は練習についていけませんでした。練習でエネルギーを使い果たしてしまうので、帰りの車の中で寝てしまいます。帰宅しても睡魔が勝って、私が夕食の準備をしている間に熟睡していました」
横浜高の寮では選手たちを食事で支えながら、息子には思うように食事を取らせることができない。渡邊さんは「現実を突きつけられて、ものすごく焦りました。息子は本当に成長するのかなと悩みました」と振り返る。
■練習で疲れてしまう息子に送迎の車中でおにぎり 分食のススメ
渡邊さんは何とかして食事を取らせるため、1つの考えにたどり着いた。練習が終わって車に乗ったと同時に、おにぎりを食べさせる方法だった。1回あたりの食事量が減っても、回数を増やして1日のトータルで必要な量を摂取する「分食」の考え方。車の中でおにぎりを食べてエネルギーを補うと体が回復するのか、佳明さんは帰宅してから熟睡せず、夕食を食べるようにもなった。そして、高校から大学にかけて身長が一気に伸びた。
横浜高の寮母を退き、管理栄養士として小、中学校などで栄養指導をする今、野球ママから悩み相談される機会が増えた。「食が細い」という悩む保護者には「1日5食、6食に分けてトータルで必要な量に到達すれば問題ありません」と分食を推奨する。
渡邊さんが勧めるのは一口サイズのおにぎり。練習前後や食事の合間に手軽に食べられる。もうひとつ有効なのは、子どもに気付かれないように量を増やす方法。いつも茶碗に盛るご飯の量を、毎週スプーン1杯分増やしていく。渡邊さんは「子どもにたくさん食べさせたくて最初から大盛や丼にしがちですが、視覚でお腹いっぱいになってしまいます」と説明する。
体の成長にも、野球の技術向上にも不可欠な食事。保護者のひと手間、ひと工夫が大きなサポートとなる。
(間淳 / Jun Aida)
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