東京・上一色中元監督の西尾弘幸氏が語った軟式野球部の意義

 

　中学進学時に軟式・硬式のどちらを選択するかは保護者・選手にとって重要な決断だ。東京・上一色中の監督として、過去に全国中学校軟式野球大会で2度の準優勝に導いた西尾弘幸氏が、中学で軟式野球部を選択することのメリットを解説している。競技力の視点に加えて、学校の部活動を選ぶことによる利点も紹介している。

 

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　高校野球での活躍を見据えたときに、早い段階で硬式球でのプレーを経験して、ボールの違いに順応するのは大きなメリットとなる。体が成長段階にある中学生にとっては、硬式球より軽くて安全な軟式球がフィジカル的な負荷を軽減し、野球の基礎力向上に寄与する点がメリットと言える。

 

　西尾氏は、軟式の特徴として「ボールがM級に変わり、大きさも重さも硬球に近くなり、（軟式でのプレーを選ぶことでの）打撃への影響はマイナスにならない」と解説。投手の成長面では、「プロの投手では、半数以上が軟式出身者で、軟式でのプレーが何か効果がある可能性が考えられる」と分析している。

 

　軟式での練習環境は、身近な施設やグラウンドを活用できることが多いことも利点の一つだ。クラブチームは専用グラウンドを所有しているケースもあるが、公共交通機関やチームバスでの移動が必要な郊外に施設があるケースがほとんど。その点、近隣の施設・グラウンドを使用することで、移動の負担が少なく選手の体力を競技そのものに集中させやすい。

 

　さらに、学校の部活動でプレーする際のメリットを教育者ならではの視点で紹介している。部活動での練習は教師と生徒との距離が近く、生活指導や日々の学習の習慣まで把握しやすい。例えば「授業中に寝ている様子もすぐに確認できるし、学校生活全般に目が行き届く」と述べているように、日常的なマネジメント体制が自然と整う。これは専門的な選手育成に特化したクラブチームでは得られない要素だといえる。

 

　軟式野球部を選ぶ意義の裏には、単なる技術向上だけでなく、心身ともに中学生が健全に成長できる環境がある。その方面でこそ軟式野球部が真価を発揮すると言え、西尾弘幸氏が伝える言葉には、選手が進むべき道を考えるヒントが詰まっている。

 

※経歴・情報は取材時

 

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