全国大会の経験から作られた打撃フォーム 最初に染み込ませたい、空振りが減る打ち方
■多賀うちの全貌を公開、全国大会に多い「無回転で落ちる球」に対応
滋賀の多賀少年野球クラブを率いて全国大会で3度優勝し、指導歴は35年に及ぶ辻正人監督。同クラブには、辻監督が考案した特徴的な打撃法「多賀打ち」が受け継がれていて、小学校低学年のうちは全員が教わる。動画を交え、その全貌を紹介する。
「バットを首のところに構えたら、首まで戻してこい!」、「首からスタートして、首でゴール!」。多賀少年野球クラブの打撃練習では、指導者からこんな言葉が頻繁に飛んでいる。バットを首に付けるようにして構え、スイング後は、首に巻きつけるようにフィニッシュ──これこそ、子どもが体を最も大きく使える打ち方と考えているからだ。
まず、肩幅よりやや広めにスタンスを取り、少しお尻を突き出し、背中はそるようにして構える。グリップは肩の高さ、バットは首または後頭部に付け、そこから肩を回転させていく。インパクトの瞬間、肩の角度とバットの角度が平行になることが秘訣だと言う。
【動画】多賀少年野球クラブ・辻正人監督が入部間もない子に徹底指導する打撃フォームの作り方
独特の打撃法は、豊富な全国大会の経験から生まれた。辻監督は「最近の少年野球では、無回転で縦に落ちる球を投げてくるピッチャーが多く、全国大会となると半数以上がそうです」と説明。「縦の変化に対し、真っすぐ体を立ててバットを真横に振りだすと、クルクル空振りすることになります。縦の変化に対応できる打ち方を編み出したら、結果的にこの形になりました」とうなずく。さらに「中学へ行っても、高校へ行っても、縦の変化に対応できる打ち方は有効」だそうで、1度マスターした“多賀打ち”は後々まで使える。
もっとも、スタート段階の小学校低学年には全員に教えるが、成長に従い自分の打ち方に目覚める子どももいる。辻監督は「結果を出せればそれでいい。多賀打ちは1つのアドバイスであって、するかしないかは本人次第です」と強調する。多賀少年野球クラブに、強制の2文字は存在しない。
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