理想の二塁送球は「腕を振らない」 “0.1秒”で勝負が決まるインサイドワークの極意

理想の二塁送球は「腕を振らない」 “0.1秒”で勝負が決まるインサイドワークの極意

甲斐拓也の送球の力強さを生む「右足の意識」

 

 盗塁阻止の成否を分ける瞬間の一つが、捕手から二塁への送球だ。その鍵となるのが素早い下半身の体重移動である。TURNING POINTでは、「甲斐キャノン」の異名を持ち、ゴールデン・グラブ賞の常連である甲斐拓也捕手(当時ソフトバンク、現巨人)に送球の極意を聞いた。0.1秒単位で勝負が決まる二塁送球の技術について明快に解説している。

 

【無料イベント参加受付中】12.1開幕|悪癖を直して、球を変える「投げ方改善4DAYS」に今すぐ申込む

 

 動画内で明かしたポイントは「右足への体重の乗せ方」の意識である。甲斐は「右足で投げる意識はあります。投げる時は、右足が大事だと。ただ思いっきり(右足に体重を)残す必要はない」と語る。送球体勢に移る際に、右の股関節に少しだけ体重を乗せ、その力を踏み込んだ左足へと移すだけで十分なパワーを伝えられるという考えだ。この動きは洗練された下半身の連動を生む。

 

 いたずらに体重移動を素早くするのではなく、効率的な動きに重きを置いている。「右の股関節にしっかりと一回体重が入れば、(ボールに)力を伝えられる。ただ(身体が)横回転で投げるとその力が逃げてしまう。だから、体重を縦方向にしっかり移すことが大事」と解説する。右の股関節に貯めた力を、余すことなくボールに伝えることで、力強さが生まれるだけでなく、コントロールの安定も生み、精度の高い送球が可能になる。

 

 さらには、「腕を振らない」感覚についても触れている。捕球から送球に移るテークバックでは腕を大きく回さず、顔の近くに手を置く意識だという。そこから右足に乗った力を、踏み込んだ左足に移す中で、上半身の動きも連動させるというわけだ。甲斐曰く「シンプルな動作で投げている」という解説が実戦的な技術を物語る。無駄を省いた投球フォームが、球速と正確性を両立させている。

 

 甲斐の解説から学べるのは、ただ強く投げるのではなく、下半身の使い方をいかに効果的に組み込むかということだ。少年野球の選手たちもこのポイントを意識するだけで送球精度が向上するはずだ。コーチや保護者も、この技術を繰り返し練習で落とし込んでほしい。

 

関連動画

"足は誰でも速くなる"今すぐ実践すべき「走力向上プログラム」/村田和哉

MAX155キロの指導者監修 年代別|好投手育成プログラム/NEOLAB

【米国流指導法】段階的アプローチ 「フィールディングスキル向上プログラム」/菊池タクト

140キロ超の直球を投げる技術習得「年代別・ピッチング上達ドリル」/高島誠

無料
登録