
日本一に導いた指導者が語る「成功体験の力」 子どもたちのやる気を引き出す秘訣とは
倉野信次が語る成功体験が育む自主性とは
野球に取り組む子どもたちがモチベーションを持続するためには、小さな成功体験がカギとなる。例えば、ヒットを1本多く打ったり、今まで取れなかった三振を1つ増やしたりといった達成感だ。これがなければ"面白味"を感じず、努力する意欲も失われてしまう。成功する喜びを知ることで「もっとうまくなりたい」と思い、自主的に挑戦を重ねていく姿勢が養われる。このプロセスは成長の原動力となる。
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ソフトバンクで投手コーチを13年間務めた経験を持つ倉野信次氏は、千賀滉大(現メッツ)をはじめとする若手投手の育成で成果を挙げ、同球団の4年連続日本一(2017〜2020年)に貢献。2022~2023年は米国に渡り、MLB・レンジャーズ傘下のマイナー投手育成コーチを務めた。その指導の基盤には、日本プロ野球(NPB)で培った経験に加え、米国での学びが組み合わさり進化し続ける「コーチング論」がある。今回の動画では、選手のモチベーションを引き出すコーチングの実際について、理想のコーチ像を重ね伝えている。
倉野氏が挙げたモチベーション向上の基本は「目標設定」と「成功体験」の2点だ。特に目標設定については、「目の前の目標設定」を重要視している。たとえば、「今日はどうするか」「この1週間で何を達成するか」といった具体的な目標を立てることで、選手が取り組みやすくなるという。しかし、抽象的で遠い未来の目標だけでは、今やるべきことが明確にならず、「どうしていいか分からない」という状態に陥りがちだ。このギャップを埋めるため、今日は何をすべきかを明らかにし、成功体験へとつなげるプロセスがコーチには求められる。
もう一つのポイントである「成功体験」については「小学生、中学生が成功体験を得られなければ、野球はつまらないものとなってしまう。それが原因で簡単に競技を諦めてしまうこともある」と語る。たとえ小さな成果でも喜びにつなげ、それを子どもたちに感じさせるのが指導者の役割である。目標を達成し前進することが、自信と新たな興味を引き出す。それが彼らを自主的に努力できる人間へと変えていく。
失敗に対するコーチの姿勢へも注意を促している。「悪い結果に対して選手を責めてはいけない。失敗は今の実力を表すものであり、次にどうつなげるかが重要」と説明する。一生懸命やった結果に対して考え、共有するプロセスこそが本来のコーチングの形だ。一方で、やるべきことを怠る姿勢には指摘が必要とする冷静さも求められる。
倉野氏の「目標設定」と「成功体験」の理論は、子どもたちだけに限らず、競技生活の延長で指導者の道を考えるコーチにも有益である。選手の歩調に寄り添いながら導く姿勢こそ、倉野氏が多くの成功を手にした理由であり、同時に理想的な指導者像の一例とも言える。
※経歴・情報は取材時
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