体験会で子どもたちを“集める”コツ 多賀少年野球クラブ流「その気にさせる」秘訣
■20歳の時にチームを創設した辻監督が構築した手法を紹介
少年野球界のカリスマ指導者と呼ばれる辻正人監督が率い、全国大会優勝3度を誇る滋賀・多賀少年野球クラブは随時、就学前の幼児や野球初心者を対象に「練習体験会」を開いている。「TURNING POINT」は密着取材を通して、“野球を好きにさせるための工夫”に迫った。
「体験会を訪れる幼児や初心者は、どちらかと言うと親御さんが野球好きというケースが多くて、子ども本位でやって来ることは少ないかもしれません」。辻監督はそう分析した上で、「その子どもたちに私たちが伝授しなければならないのは、『野球は楽しいんやぞ』ということです。一番最初に植え付けてしまうことが大事だと思います」と力を込める。
【実際の動画】できてもできなくても褒める 前向きになる声がけが重要
まずは、辻監督らが手でボールを転がし、子どもにグラブで捕らせることを繰り返す。「野球ではゴロを捕球する動作が一番簡単です。これによって“好き”という歯車を回すのです」と説明する。「転がってくるところへグラブを持っていかせるのではありません。子どもがグラブを置いているところへ、こちらがボールを転がすのです」と秘訣を明かす。ボールを捕る楽しさを知ってもらうこと、自信を持ってもらうことが出発点だからだ。
「おーっ、うまい!天才やな」「お父さん、〇〇くんは天才ですよ」子どものグラブにボールが収まるたびに、辻監督は大声を張り上げるが、ここにも重要な意味がある。「『おまえ、センスあるぞ』と言われたら、子どもはどんどん自分から取り組むようになります。“勘違い”させることも、子育てのコツだと思っています」。20歳の時にチームを創設した辻監督が、35年もの間子どもたちと向かい合いながら構築した手法である。
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