子どもたちが“勝手にうまくなる”練習法と言葉がけ 「ヨーイ・ドン」は魔法の言葉

子どもたちが“勝手にうまくなる”練習法と言葉がけ 「ヨーイ・ドン」は魔法の言葉

■効果的なアイテムはスピードガン、ストップウォッチ

 

 頭ごなしに教えるのではなく、“勝手にうまくなる仕組み”をつくる。少年野球界のカリスマ指導者と呼ばれる辻正人監督が率い、全国大会優勝3度を誇る滋賀・多賀少年野球クラブが掲げているテーマだ。「TURNING POINT」では同クラブの練習に密着。そこには上達へ“効果的”なアイテムがあった。

 

 それはスピードガンやストップウォッチだ。同クラブでは未就学児・小学1年のグループで、スピードガンの前でボールを投げさせている。あらかじめ子どもに目標のスピードを聞き、達成された瞬間に辻監督自身が「ウォー、出た!」と子ども以上に歓声を上げる。届かなかった時には「よし、あと2キロや」と背中を押す。

 

【実際の動画】多賀流「勝手に野球が上手くなる仕組み」 “練習アイテム”と“魔法の言葉”とは

 

「子どもらはスピードガンのスピード、ストップウォッチのタイムが大好きです」と言う辻監督は、こんな風にたとえ話をする。「普段、子どもが嫌がる宿題でも『今日は何分でやれるか計ってみよう。ヨーイ・ドン!』と言った瞬間、一生懸命やります。ヨーイ・ドンは魔法の言葉です」

 

 小学2・3年のグループでは、キャッチボールの際、交互にピッチャー役を務めている。相手の目の前にホームベースを置いてもらい、肩が温まってくれば座ってもらう。コーチは「この学年は全員に可能性がありますから、“全員ピッチャー”が合言葉みたいになっています。試合でも、いけそうとなれば全員にピッチャーをやらせるようにしています」とうなずく。投手は野球の花形。大きく振りかぶり、足を上げて投げるとなると、低学年の子どもたちは目の色が変わる。

 

 5・6年生になると、各ポジションを深く練習していくことになるが、急いでポジションを割り振るのではなく、最初は全員で1つのポジションを練習し、最終的には全員に全てのポジションを経験させる。

 

「1つのポジションに最高のプレーヤーが現れると、その選手が見本となって、他の子どものレベルもぐっと上がります。先にポジションを割り振ってしまうと、見本のいないポジションができてしまいます」。大人が有効な仕組みをつくり、子どもを本当に楽しませることができれば、「勝手に四六時中野球をやるようになります」と辻監督は確信している。

 

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