「ゲームと野球の二刀流」も認める 少年野球界のカリスマ指導者の懐の深さ

「ゲームと野球の二刀流」も認める 少年野球界のカリスマ指導者の懐の深さ

■動画を通じて「ウチのコーチの声かけを聞いていただきたい」「子どもたちを決して下に見ない」

 

 今夏の“小学生の甲子園”こと「マクドナルド・トーナメント」に滋賀県代表として出場する多賀少年野球クラブの辻正人監督。指導法は、メディアでも大きく取り上げられ少年野球界で今、話題になっている。「TURNING POINT」では同クラブの練習に“どこよりも長く”密着取材。動画を通して、ユニークな練習法と辻監督の人柄に、ぜひ触れてほしい。

 

 20歳でチームを創設し、今年で35年目となる辻監督。「世界一楽しく! 世界一強く!」をモットーに掲げる。実際、動画に映し出される練習には、自由で和気あいあいとしたムードが充満している。

 

 例えば、辻監督が打撃指導していた子どもの言葉を聞き、驚いたように声を上げる。「今日、ゲームの約束をしてきたって? 3時半から? そしたら、はよ帰らなあかん」。野球を強制するのではなく、こんな風に子どもの気持ちや都合に耳を傾けながら、子どもと同じ目線で自然に野球への興味を育てていく。辻監督はカメラの方を振り向き、「ゲームと野球の二刀流ですよ」と微笑んだ。

 

【徹底密着】日本一3回/甲子園球児22名輩出 “カリスマ”少年野球指導者 #1

 

「最初に『楽しい野球で日本一になる』と言い出した頃なんて、周りのみなさんから笑われました」と明かす。しかし、これまで高校進学後に甲子園出場を果たした教え子は22人に上り、チームのOBには現楽天の則本昂大投手もいる。実績を上げるにつれて、多賀少年野球クラブの練習には、メディアの取材とともに、視察に訪れる指導者が増え、いまや引きも切らない。

 

 時代とともに少年野球を取り巻く環境が変わり、頭ごなしの指導は通用しなくなりつつある。辻監督は「変わらなければいけないと、みなさんが感じておられると思います。ただ、変わろうとして離陸したのはいいけれど、どこに着陸したらいいのか迷い、不安になって、また同じところに着陸するようなことも起こっている」と見ている。

 

■巧みな話術で集中させ一気に上達へ導く

 

 長年にわたって試行錯誤を繰り返しながら、目的地を探し当てた。「少年野球の常識を疑い、“子どもたちが勝手にうまくなる仕組み”をつくり上げてきました」とうなずく。「動画を通じて、ウチのコーチの声かけを聞いていただきたいですね。子どもたちを決して下に見ない、巧みな話術で集中させ、一気に上達へ導きます」と確信はゆるぎない。

 

「世界一明るいグランドの中には、指導者が抱える悩みの解決法、子育てのヒントが隠されていると思います」と辻監督。子どもたちと一緒に泥まみれになりながらつかんだノウハウを、惜しみなく広めていくつもりだ。

 

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