野球は練習した分だけうまくなる? 凝り固まる動き…極めるより大事な“多様性”
■米国では「オフシーズンは野球から離れて練習はしない」と菊池タクト氏
これからシーズンオフとなる冬の季節を迎えるにあたり、具体的に何をすればいいのか悩んでいる指導者や選手も多いだろう。少年野球の子どもたちに自身の知識や経験を伝えている野球スキルコーチの菊池タクト氏は、ボールを使った実戦練習よりも、スキルアップドリルを推奨。そして、それらの動きが円滑にできるように、野球だけでなく、他のスポーツも積極的に行うことを勧めている。First-Pitchでは、巷で話題の凄腕コーチ12人を取材。今回は菊池コーチのシーズンオフ強化策に迫った。
小学3年から大学まで野球を続けた菊池コーチにとって、オフシーズンは「野球にどれだけ時間を使えるか、野球の練習をやればやった分だけうまくなるという考え方でした」という。ただ、その考えは、高校教員の職を辞し、プロの野球指導者を目指すべく渡った米国で覆された。
「米国では基本的に、オフシーズンは野球から離れて練習はしないという考え方です。特にジュニア期は、1つのスポーツを極めるよりも、多様な動きを身に付ける方が大切で、オフシーズンは野球以外のスポーツに触れることで、いろんな体の動かし方を覚える。それが球際を捕りに行くプレーや、泳がされたときに下半身が崩れない身のこなしにつながっていったりする。野球をずっとやることが野球のためにつながるかといったら、必ずしもそうではありません」
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オフの期間はグラブやバットを置き、他の球技に勤しむ子どもは、米国では少なくない。他競技をプレーすることで、野球の動きの中では得られない俊敏性やボディバランス、体幹の強さが身に付いていく。
■野球のためではなく「その競技を楽しみ没頭する」
「バスケットなどは腕振りも野球とつながってきます。ただ、これらを野球のためにやるという考え方だと、そのスポーツを楽しむという意義から離れやすい。楽しめるスポーツに没頭してやって、結果として何かがつながるというのが理想です」
野球とは違う筋肉を使うため、局所疲労が分散され、結果的に怪我の防止にもなる。練習後に走ってボールを蹴るだけでも、心肺機能や足回りの強化、疲労回復など、様々な効果が期待できる。
「僕の場合は“遊ぶ”という感覚がほとんどなかった。野球だけをやっていたことで、結果的に凝り固まった動きになりました。わいわいサッカーをやっている同級生を見て、『そんな暇があるんだったら一本でも多く素振りしろよ』と思っていましたが、結果的にそういう子たちの方が身のこなしがよかったりするんですよね」
急がば回れ。野球以外のスポーツに触れる機会が多いオフシーズンこそ、自分の技術を伸ばす絶好のチャンスだ。
(内田勝治 / Katsuharu Uchida)
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