大阪桐蔭はなぜ強いのか 歴代主将2人が明かす“うまくなる仕組み”詰まった練習

大阪桐蔭はなぜ強いのか 歴代主将2人が明かす“うまくなる仕組み”詰まった練習

■「ミノルマン」こと廣畑実さんと春夏全国Vの水本弦さんが回想

 

 秘密は個々の能力の高さだけではなかった。大阪桐蔭高野球部の元主将で「ミノルマン」の愛称でYouTuberとして活動している廣畑実さんと、オリオールズ・藤浪晋太郎投手らとともに甲子園で春夏連覇を果たした年に主将を務めた水本弦さんの2人が、大阪桐蔭の強さの理由を明かした。選手がうまくなる仕組みが練習に詰まっている。

 

 大阪桐蔭には、中学時代に活躍した選手が甲子園で優勝しようと全国から集まってくる。選手の技術が高いのは言うまでもない。ただ、高校野球は負けたら終わりのトーナメント。個の力だけで勝てるほど簡単ではない。

 

 なぜ、大阪桐蔭は強いのか。元主将の廣畑実さんは、多くの人が抱く疑問に答える。「1年生からうまくなるチャンスをもらえるのは大きいと思います。練習メニューは基本的に3年生と同じですから」。廣畑さんは大阪桐蔭卒業後、亜大、JR東海とアマチュア野球界のエリート街道を歩んだ。現在は「ミノルマン」としてYouTubeチャンネルで野球の技術やトレーニング方法を伝えている。大阪桐蔭の特徴に挙げるのは、実戦形式の練習。シート打撃でもノックでも走者をつける。1年生も入学してすぐ、主力選手と同じグラウンドで走者をしたり守備に就いたりする。

 

【無料動画】2人の元主将が解説 大阪桐蔭の強さを裏付ける「練習の仕組み」

 

 練習から試合の感覚や緊張感を経験できることに加えて、アピールの場になっているという。西谷浩一監督は練習中に走塁や守備で目立った動きをした選手を褒めて、試合で起用する。廣畑さんは「守備はアウトを取るために、走者はセーフになるために必死です。守備と走塁は1年生から上手くなります。ボール回しからチーム内の競争は始まっているので、他のチームにはない緊張感があります」と説明する。

 

■「高校時代に対戦して一番強かったのは大阪桐蔭のBチーム」

 

 

 廣畑さんの1年後輩で主将を務めた水本弦さんは、全学年が一緒に練習する別のメリットを挙げる。「いい選手のプレーを見て学べます。先輩のスピードに順応しようとして動くので自然とうまくなっていきます」。水本さんは3年生だった2012年に、同級生の藤浪や1年後輩の西武・森友哉捕手らとともに甲子園で春夏連覇を成し遂げている。その後は亜大、東邦ガスとアマチュアの名門でプレーした。大阪桐蔭では1年秋から公式戦に出ていたが、いつも危機感を持っていたという。

 

「控えにいい選手がいるので、アピールし続けた3年間でした。いい緊張感とプレッシャーの中で練習できたと思います。高校時代に対戦したチームで一番強いと感じたのは、大阪桐蔭のBチーム(控え選手中心のチーム)です。きっかけ1つで、レギュラーと控えの立場が入れ替わる危機感がありました」

 

 激しいチーム内競争が、個々の選手を成長させる。しかし、決してチームメートを蹴落とそうとはしない。目指すのは甲子園優勝。全員が同じ方向を向き、選手同士で意見を交わして技術を高め合う。廣畑さんは「先輩にかわいがってもらいましたし、何でも聞ける存在でした」と振り返り、水本さんも「先輩から教わることは多かったです」と語る。

 

 試合のような緊張感があり、アピールの場にもなっている実戦形式の練習。選手が中学時代の実績や身体能力の高さに慢心することなく、向上心や危機感を持ち続ける環境。歴代主将2人の言葉が、大阪桐蔭の強さと伝統を物語る。

 

(間淳 / Jun Aida)

 

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