小学生軟式野球の名将3人が集結 全国制覇を果たした選手育成とチームづくり
■2チームの共通点は「ノーサイン」 もう1チームは40年間で35度の全国出場
野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」が27日、「日本一の指導者サミット」を開催した。小、中学生のカテゴリーで日本一経験のある指導者を5夜連続で招くイベントで、3日目は小学生の軟式野球で全国制覇を果たした3人の指揮官が出演した。
2部構成の第1部には、3度の日本一を達成している滋賀・多賀少年野球クラブの辻正人監督と昨年の全国大会で優勝した石川・中条ブルーインパルスの倉知知幸監督が登場した。両チームの共通点は「ノーサイン野球」。指導者がサインを出さずに、選手同士のサインやアイコンタクトで試合を進めていく。
辻監督は全国大会で相手チームにサインを見破られたことから、「選手全員の頭の中を自分と同じにすれば良い」と考えてノーサインを取り入れた。倉知監督は毎年、多賀少年野球クラブへ遠征に行き、辻監督から野球を学ぶ中でノーサインを手本にした。両指揮官とも雪で屋外の練習ができない期間を活用して、室内でノーサイン野球の基本となる座学を行っている。アウトカウントや走者によって、どんな戦術が有効なのかを選手に伝えている。
倉知監督は5年ほど前までサインを出して選手を動かしていた。ところが、選手がかわいそうと思い始めた。「監督の顔を見て失敗したら怒られると思ってプレーするより、自分たちで戦術を選択した方が思い切りプレーできると感じました」。ノーサインに方針転換してから、選手から質問される機会が増えたという。辻監督はサインを盗まれたことがノーサインに切り替えるきっかけだったが「子どもたちが野球のおもしろさを知って、集中してプレーするようになりました」と想定外の収穫を得た。
第2部は辻監督と福島・常磐軟式野球スポーツ少年団の天井正之監督が出演した。3代目の監督としてチームを率いる天井監督は創部40年間で35回の全国大会出場を果たしているチームの強さを問われ「保護者、選手、指導者が毎年、どうやって勝てるチームをつくり上げるか考えてきた積み重ねです。小学3年生以下の選手たちも全国大会の応援に行くので、早い段階で大舞台に立ちたい気持ちを醸成している面もあります」と説明した。「日本一の指導者サミット」は29日まで続く。
(First-Pitch編集部)
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