投手9人だけで試合も、マイク片手の“総選挙”で主将選定 ポニー王者の選手育成術
■ポニー転籍1年目で夏の全国大会を制した関メディ・井戸伸年監督
目の前の試合だけでなく、先を見据えたチーム作りで日本一を手にした。「関メディベースボール学院」(以下、関メディ)は今春にヤングリーグからポニーリーグに転籍。いきなり全日本選手権で優勝を飾った(佐賀ビクトリーと引き分けで2チーム優勝)。First-Pitchでは、小・中学世代で日本一を成し遂げた12人の監督に取材。かつて近鉄、オリックスでプレーした井戸伸年監督は優勝の要因に「子どもたちのプレゼン力」を挙げる。
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関メディのチーム方針の一つにあるのが「2ポジション制」だ。1つのポジションを極めるのではなく、練習の段階から様々なポジションを経験させる。紅白戦では投手9人だけで試合をこなすこともあった。高校、大学と上のカテゴリーに進んだ際に、少しでも可能性を拡げるためだ。
「投手なら野手の気持ちが分かる。例えば投球のテンポが悪いと守備のミスに繋がるとか。野手だって『なんでストライクが入らないの?』と思うかもしれませんが、実際にマウンドに立ってみないと分からない。今年の甲子園では猛暑で選手たちの疲労がクローズアップされました。アクシデントがあっても冷静に対応できるように経験値はある方がいい」
試合では投打で攻撃的な野球を意識している。守備の積極的なミスはOK、攻撃でも盗塁は何度失敗してもサインを出し続ける。中途半端なスイングをさせないため、ある試合では「打ってからすぐ走らない」とルールを決め、バットを振り切り打球のコースを確認させてから走らせることもあった。
■主将は総選挙で決定…立候補選手はマイクを手に
「試合でしか成功体験は得られない。失敗したら、成功するために必要なことを考えないといけない。それを実践できるのは試合なので、何度もサインは出します。高校野球は来年から金属バットも(低反発に)変わる。飛ばなくなるので振り切るスイングは必要です。詰まっても振り切っていると、外野手の反応が遅れてヒットになる可能性もありますから」
野球以外に求めるのは「人間性」だ。主将を決める際は“総選挙”を実施し、立候補した選手はグラウンドの中心でマイクを片手にチームの“公約”を掲げる。他にも常に自身をプレゼンできるよう伝えている。
「代打でも代走でも何でもいい。自分たちの戦略を立て、マネジメントしなさいと。それが試合に出ることにも繋がる。大人に対して言葉や姿で伝えることは社会人としても必要です。話ができないのは考えていないのと一緒。うちの生徒はコミュニケーション能力の高い子が多いですね」
中学生の段階で自立を促し、個々の夢を叶えるために何が必要なのかを考えさせる。井戸監督は今月25日から5夜連続で行われる「日本一の指導者サミット」に参加予定。社会で通じる人間育成にも力を注ぐ方針は多くの指導者の参考になるだろう。
■関メディベースボール学院・井戸伸年監督も“参戦決定”!
First-Pitchと野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」では9月25日から5夜連続(午後8時から)でオンラインイベント「日本一の指導者サミット」を開催する。小・中学生の野球カテゴリーで全国優勝経験を持つチームから、手腕に定評のある12人の監督がYouTubeライブに登場。指導論や選手育成術、円滑なチーム運営のヒントを授ける。詳細は以下のページまで。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)
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