「中学野球は通過点」言い過ぎて後悔 全国V5度の強豪は「試合に勝つこと」で学ぶ
■取手リトルシニア・石崎監督「負けて得ることよりも、勝って得ることの方が大きい」
中学硬式の強豪「取手リトルシニア」(茨城)の石崎学監督は2007年の創部後、5度も全国制覇に導いてきた。ただ、全国で上位を狙えるチームであっても「日本一」という言葉を選手に口にすることはないという。First-Pitchでは、小・中学世代で日本一を成し遂げた12人の監督に取材。石崎監督の考えは大きなヒントになりそうだ。
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「中学というカテゴリーの中で何を目指すとかはあまりなくて……高校、大学と野球を続ける今、何をするのかということの方が大事だと考えています。ミーティングなどで『日本一になるぞ』『あのチームが強いから倒すぞ』といったような話はしないですね」
チーム内で「日本一」を意識させることはない。ただ、「試合に勝つこと」にはこだわらせるという。そこには石崎監督の持論がある。
「ウチはレクリエーションスポーツではなく、チャンピオンスポーツをやるチーム。チャンピオンスポーツをやる以上、試合は絶対に勝たないといけない。勝つことで喜びがあるのがスポーツの大前提。ミスして負けたらそれは敗因になりますが、勝てば次があるから反省になります。『負けて得ることより、勝って得ることの方が大きい』と子どもたちには話しています」
昨年は中学野球の日本一を決める「ジャイアンツカップ」で初優勝。今春のリトルシニア全国大会も制した。ただ、過去5度の日本一の瞬間、ナインがマウンドに集まって喜ぶことはなく、グラウンドで胴上げするシーンもなかった。勝ち続けてきたからこそ分かる敗者の痛み、相手へのリスペクトがそこにはある。
「勝者の影には敗者の犠牲があります。目の前で騒ぐ必要はないし、喜ぶのはグラウンドを出てからいつでも喜べます。勝った時に配慮はしなさいと言っています」
■重圧を取り除く思いが裏目に…失わせてしまった「今」への貪欲さ
石崎監督自身も指導者としてアップデートを繰り返している。昨年のジャイアンツカップ優勝後、新チームの選手たちには余計なプレッシャーを抱えてほしくないという思いから「中学野球は通過点」と言い続けてきた。
ただ、その言葉が、中学野球という「今」に対しての貪欲さを失わせてしまったと痛感している。今年のジャイアンツカップは準々決勝で敗退。連覇は夢と消えた。
「今年に関しては『中学野球は通過点』と言い過ぎたのが反省点。日本一になるのに邪魔になったかもしれないです。ジャイアンツカップで負けた時に、選手には『今、頑張っていない選手に明日はない』という話をしました」
日本一を意識させず、勝利への執着心を植え付ける。そして、高校野球への通過点として「今」を大切にさせる。相反しているようにも思えるが、それを教えるのも大人の大切な役割だ。多感な中学生たちと向き合いながら、日々奮闘する石崎監督。今月25日から5夜連続で行われる「日本一の指導者サミット」にも参加予定で、その考えはアマ野球指導者にとって参考になるはずだ。
■日本一5度…取手リトルシニア・石崎学監督も“参戦決定”!
Full-Count(First-Pitch)と野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」では9月25日から5夜連続(午後8時から)でオンラインイベント「日本一の指導者サミット」を開催する。小・中学生の野球カテゴリーで全国優勝経験を持つ全12チームから、手腕に定評のある監督たちがYouTubeライブに登場。指導論や選手育成術、円滑なチーム運営のヒントを授ける。詳細は以下のページまで。
(内田勝治 / Katsuharu Uchida)
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