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「バウンドが合わない」の根本原因はスローイングにあり!? 守備上達の意外な落とし穴

「バウンドが合わない」の根本原因はスローイングにあり!? 守備上達の意外な落とし穴

――現在、武さんはどのような年代の選手を中心に指導されているのでしょうか?

武:今は中学生を教えることが多いですね。平日に3日ほど個別指導などで稼働して、土日はチームの指導に入るといったスケジュールで活動しています。

 

――中学生くらいになると、守備に関してどのような悩みを持って相談に来る選手が多いですか?

武:年代に関わらずですが、一番多い相談は「バウンドの合わせ方が分からない」というものです。大体8割くらいの子が、そういう悩みを持って僕のところに来ます。

 

――実際に選手のプレーを見て、その悩みの根本的な原因はどこにあると感じますか?

武:実は「捕る」こと以前に、「投げられないこと(スローイング)」に原因があるケースがほとんどなんです。 投げる技術がないから、難しい体勢で捕らないといけない。捕球に集中しすぎると、その後のスローイングの体勢が崩れてしまうから、結果的にバウンドが合わなくなっているように見えるんです。逆に言えば、どんな体勢で捕っても強く正確に投げられる技術があれば、バウンドが合っていなくてもアウトにできます。みんな「捕球」ばかりに気を取られていますが、僕はどんな悩みを持ってきても、まずはスローイングからチェックするようにしています。

 

 

――指導を続けられる中で、武さんご自身の教え方に変化はありましたか?

武:以前は「バウンドをこう合わせて」という「形」ばかりを教えていました。しかし数年前、人間の「目」と「身体の使い方」の関係を知ってからアプローチが大きく変わりました。 ボールは「見ようとする」のではなく「見える」ものなんです。ボールを凝視しようとすると、目から身体に力みが生じてしまい、スムーズな動きができません。「ボールをしっかり見ろ」と指導するのではなく、自然と「見える」身体の状態や感覚を引き出すようなアプローチに変わりましたね。

 

――日本の守備指導における「基本」について、どう感じていらっしゃいますか?

武:日本特有の「正面に入って捕る」という指導は、世界的に見ればもう古いと感じています。アンダー12の世界大会などを見ても、海外の選手は体の正面を外して捕り、素早く送球するプレーを当たり前のようにやっています。 昔の指導法をそのまま「基本」だと思い込んでいる指導者は多いですが、それは現代の子どもに「パソコンの前にそろばんを覚えろ」と言っているようなものです。指導者自身が「今の時代の基本とは何か」をアップデートしていく必要があると思います。

 

――少年野球の現場において、保護者や指導者の方々に意識してほしいことはありますか?

武:一番は「大人が結果を急がず、待ってあげること」です。 僕らが教えている技術や身体の使い方は、明日すぐに試合で結果が出るものではないかもしれません。大切なのは、子ども自身が「こういうプレーがしたいから、この練習が必要なんだ」と納得して取り組むプロセスです。それなのに、試合でエラーをした瞬間に大人が介入して、「なんで正面に入らなかったんだ!」と頭ごなしに否定してしまう。これが子どもの成長を阻害する一番の原因だと感じています。

 

 

――子どもたちが自分で考え、納得してプレーする環境が必要なのですね。

武:そうです。だからこそ、自分の身体がどう動いているかを客観的に知るために、映像を使った指導には今後さらに力を入れていきたいと考えています。「感覚」と「実際の動き」のズレを視覚情報として理解することは、子どもたちの納得感に大きく繋がりますから。

 

――最後に、武さんが今後野球界で実現したいビジョンや、新しい取り組みがあれば教えてください。

武:やはり、映像活用をさらに一歩進めた指導の仕組み化ですね。自分の身体をイメージ通りに動かせていない子は多いですが、それを言葉だけで修正するのは限界があります。今後は、映像を見て「客観的に自分を知る」というプロセスを、より日常的なものにしていきたい。そうやって自分の頭で正解を導き出せる選手が増えることが、結果として野球界全体のレベル底上げに繋がると信じています。

 

取材:2026年4月

 

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