
子どもが笑顔で野球を楽しむ奇跡 辻正人監督が導く“心のグラウンド”
辻正人監督の指導が心を動かす理由
野球嫌いの子どもを笑顔でグラウンドに立たせるにはどうすればいいのだろうか。2022年で指導歴34年を迎える多賀少年野球クラブの辻正人監督が、その答えを見せつけた。20歳の若さでチームを創設し、日本一3回、20名以上の甲子園球児を輩出した彼の指導現場は、野球愛だけでなく子どもたちへの並外れた理解と接し方が詰まっていた。
今回の動画では「選手の心を惹きつける指導の極意」をテーマに、野球に興味を示さず、むしろ人見知り気味で心を閉ざしていた幼児が、辻監督の一挙手一投足によって練習を楽しむ姿へと変わる一部始終が収められた。徹底取材の中で明らかになったのは、単に技術的な指導ではなく、子どもの感情や個性を尊重しながら野球という環境に橋を架ける、緻密かつ温かなプロセスだった。
「そもそも私たちは、グラウンドにいる子どもを所有物として扱うべきではありません」と辻監督の発言が響く。動画内では、子どもたちがその場を楽しむ自由を最優先する方針を明確にし、無理に列を作らせたり、一斉に動かすことを避ける姿勢を貫いた。たとえば、外野で子どもたちと一緒に笑いながら虫を観察したり、ボール遊びを通じて信頼関係を築いたりする姿は、繊細な工夫の賜物だった。
「大人の都合に子どもを合わせるのではなく、むしろ子どもの都合に環境を合わせていく。だんだん野球へとつながる流れを作る、そういう感覚が重要」と動画内で語りかける辻監督。その言葉通り、幼児に寄り添い、彼らが好きな遊びから野球へのステップを引き出す手腕が随所に見られた。一見、遊びのような柔らかい環境が、やがて野球の基礎となる事実に驚かされる。
実際、最初は泣きべそだった幼児が、「もっとやりたい!」と声を上げた場面は象徴的だった。辻監督が得意の声かけで「ナイスプレー!」と繰り返し励まし、的にボールを投げる楽しさを伝える様子が子どもの心を掴む瞬間だった。「ここに来て楽しいと思えるような環境がわかってくれただけで、それで十分」と、その重要性を熱弁した。
辻監督の指導法は単なる技術習得の枠を超え、子どもの可能性を最大限引き出す道しるべとなる。動画を通じて浮き彫りになったこの指導哲学は、スポーツを通じて子どもを豊かに育むヒントに溢れている。
※経歴・情報は取材時
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