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“廃校”を少年野球の拠点に――地域を巻き込み、子どもが集まる環境をつくった代表の奔走

“廃校”を少年野球の拠点に――地域を巻き込み、子どもが集まる環境をつくった代表の奔走

栃木県大田原市で活動する少年野球チーム「ABLAZE(アブレイズ)」。現在66名の選手が所属し、週末には多くの子どもたちがグラウンドに集まる。

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その活動を支えているのが、旧蛭田小学校のグラウンドと体育館だ。

雨の日にも練習できる体育館があり、子どもたちが思い切り野球に取り組めるグラウンドがある。しかし、この環境は最初から用意されていたものではない。

部員が増え、これまでの活動場所ではチーム全体で練習することが難しくなっていく中、代表・総監督の大倉崇氏は「子どもたちが思い切り野球をできる場所」を求めて動き始めた。

部員が増えた。それなら「野球ができる場所」を自分たちで探す

旧蛭田小学校のグラウンドで練習するABLAZEの選手たち

ABLAZEは2022年に創設。当初は選手が一人という時期もあったが、口コミを中心に少しずつ仲間が増え、現在は66名が所属するチームになった。

うれしい成長である一方、人数が増えれば新たな課題も生まれる。

それまで空いている時間に使わせてもらっていた施設も、ABLAZEの部員が増えたことで、チーム全体では使いづらくなっていった。

そこで大倉代表は、新しい活動拠点を探し始める。

チームの指導者など周囲から情報を集めながら、子どもたちが継続して野球に取り組める場所を探した。その中で候補として浮かび上がったのが、旧蛭田小学校だった。

行政へ自分たちの活動を伝え、“廃校”を新たな拠点に

ABLAZEが活動に使用している旧蛭田小学校の体育館

旧蛭田小学校には、十分な広さのグラウンドだけでなく体育館もある。ABLAZEにとって、子どもたちの活動の幅を広げられる場所だった。

大倉代表は、自身が所属するNPO法人「SOLUTRO」の活動として施設を活用するため、行政に対して自分たちの活動や目的を伝えた。

そして2025年10月、旧蛭田小学校を新たな活動拠点として使えるようになった。

ただ、場所を確保できたからといって、すぐに野球ができたわけではない。

グラウンドには、大人の背丈ほどの草が生い茂っていた。

保護者の力も借りて、草だらけの場所をグラウンドへ

旧蛭田小学校のグラウンドを整備する様子

伸びた草を刈り、重機を使いながら野球ができるグラウンドへと整備していった

ここでも、大倉代表一人ですべてを進めたわけではなかった。

農業に携わる保護者が草刈りを手伝い、重機を扱える保護者が整備に力を貸す。それぞれが持っている経験や力を持ち寄り、少しずつ子どもたちが野球をできる場所へと変えていった。

現在では、整備されたグラウンドで子どもたちがボールを追い、体育館では天候に左右されず練習することができる。

チームが活動することで、長く伸びていた草も整備されるようになった。地域住民から「きれいになって良かった」と声をかけられることもあるという。

子どもたちのためにつくった野球環境が、結果として地域にも良い変化を生んでいる。

自分のチームだけではなく、地域の子どもが野球をできる場所に

旧蛭田小学校に集まるABLAZEの選手たち

さらに特徴的なのは、整えた環境をABLAZEの選手だけで囲い込んでいないことだ。

土日午後などに行うスクールには、ABLAZE以外の選手も1回500円で参加できる。基本的には野球をする場所を提供し、希望があれば大倉代表が技術指導を行うこともある。

過去には、スクールに参加していた他チームの選手が大会でABLAZEと対戦し、ホームランを放ったこともあったという。

それでも、「他チームの選手だから教えない」とは考えない。

自分たちのチームだけではなく、地域の子どもたちが野球をできる環境をつくる。

そこには、「ABLAZEを強くする」だけではない、大倉代表の考え方が表れている。

場所を探し、人を巻き込み、子どもの環境をつくる

子どもたちを見つめるABLAZE代表・総監督の大倉崇氏

使われなくなった学校に、再び子どもたちの声が響く。

その環境は、最初からそこにあったものではない。

場所を探し、行政に活動を伝え、保護者や周囲の人たちの力を借りながら、一つずつ形にしてきた。

そして完成した環境を、自分たちだけのものにするのではなく、地域の子どもたちにも開いている。

第1回で紹介した「野球を好きにさせる」という指導理念も、第2回で紹介した「やりたい時に、やれる」練習環境も、自然に生まれたものではない。

66名の子どもたちが集まるABLAZE。その背景には、「子どもたちが野球をできる場所をつくりたい」と動き続けてきた、大倉代表の存在がある。


ABLAZE チーム概要

ABLAZE集合写真

チーム名
ABLAZE(アブレイズ)

創設
2022年
※野球チームとして大会へ本格参戦したのは2023年秋から

部員数
66名
6年生11名/5年生23名/4年生以下

活動場所
栃木県大田原市
旧蛭田小学校グラウンド・体育館、大田原市内グラウンドほか

活動日
土日・祝日を中心に活動
チーム練習は午前8時30分〜11時45分を基本とする
土日午後・水曜夜には希望者向けスクールを実施

主な成績
2026年 Gas One カップ栃木県大会 優勝
2026年 年中夢球杯栃木県大会 優勝

代表・総監督
大倉 崇(おおくら・たかし)

ABLAZE代表・総監督 大倉崇

代表プロフィール
1976年、栃木県大田原市出身。小学生時代に野球、サッカー、バスケットボールを経験し、中学では軟式野球、高校では硬式野球をプレー。少年野球指導に16年携わる。現在は一般企業に勤めながら、NPO法人「SOLUTRO」に所属し、ABLAZE代表兼総監督として地域の子どもたちのスポーツ環境づくりに取り組んでいる。

チーム公式Instagram
ABLAZE 公式Instagramを見る

※記載情報は2026年8月現在


大倉崇代表の指導を、動画でも公開中

子どもの「好き」を大切にするABLAZEの考え方を、さらに動画で。
少年野球の指導に活かせるヒントをご覧いただけます。

大倉崇代表の出演動画を見る