
「野球が好きじゃない子もいる」という気づき。原点回帰の“公園野球”と、好きを育む指導論
前回に引き続き、東京都の人気少年野球チーム「町田玉川学園少年野球クラブ」代表の菊池拓平さんにお話を伺います。
運命的な導きで指導者としてグラウンドへ戻り、自身の知識を一旦ゼロにして学童野球と向き合った菊池さん。
そこで気づいた「そもそも野球が好きではない子もいる」という事実と、子どもたちを夢中にさせる独自の練習アプローチ、そして学童野球の枠を超えた将来への思いについて伺いました。
この記事でわかること
・「野球が好きじゃない子もいる」という気づき
・低学年の子どもたちに野球を好きになってもらう考え方
・公園野球を原点にしたゲーム性のある練習方法
・学童野球の先まで見据えた指導への思い
「野球が好きじゃない子もいる」という気づき
――指導者として現場に復帰されて、まずどのようなことに気づかれましたか?
菊池:時代とともに子どもたちの気質が変わり、昔に比べて野球を見る機会が減っていることに気づきました。そして何より、そもそも「野球がそんなに好きじゃないかもしれない子」も野球をやっているということです。経験者は自分が好きで続けてきたので、好きじゃない子の気持ちがなかなか分かりません。だからこそ、特に低学年のうちは「野球を好きになってもらう」ことが一番の入り口だと感じました。
低学年ではまず、
「野球を好きになってもらう」ことが入口になる。
――「野球を好きになってもらう」ために、どのようにアプローチしたのでしょうか?
菊池:野球という競技を分解して考えるようにしました。「バッティングがいい」「速い球を投げる」といった分かりやすい部分だけでなく、足が遅くても相手のモーションを盗むのが好きな子もいれば、フライを追いかけることだけが好きな子もいます。そういった色々なパーツの組み合わせがチームの力になるのが、野球の魅力だと思っています。
バッティングや球速だけではない。
「走る」「追う」「盗む」「考える」――。
さまざまな要素の組み合わせが野球の面白さにつながっている。
原点回帰の“公園野球”が、子どもを夢中にさせる
――子どもたちを夢中にさせるための具体的な練習方法はありますか?
菊池:競技を単純化してゲーム性を持たせることです。例えば、ただのバッティング練習をホームラン競争にしたり、サッカーのように相手の陣地に向かってノーバウンドでボールを打ち合って得点を競ったり。子どもはやっぱり競い合いたいんですよね。ベースがなくても楽しかった、私の原点である「公園の野球」と同じで、遠くに飛ばす、速い球を投げるという没頭できる環境を作ることが大切だと思っています。
ベースがなくても楽しかった。
原点は、夢中になれる“公園野球”。
競技の本質を残しながら、子どもたちが自然と競い合い、夢中になれる形へ変えていく。
そのアプローチこそが、菊池さんの考える「好き」を育てる指導の根幹にあります。
目先の勝利ではなく、その先の未来へ

▲将来を見据えた基礎づくりを大切にする町田玉川学園少年野球クラブ
――現在では部員が80名近くになり、遠方から通う子どもたちもいるそうですね。
菊池:そうですね。ただ、初めから上手い子が遠くから来ているわけではなく、「将来を見据えて基礎をしっかりやりたい」という子が集まってくれているのだと思います。目先の大会で勝つことだけでなく、中学、高校、さらにはその先まで視野に入れた指導方針に共感してくれているのではないでしょうか。
――「野球を好きになること」は、子どもたちの将来にどう繋がっていくのでしょうか?
菊池:野球に限らず、何かのジャンルで壁にぶつかって苦しい時、それを乗り越えられるかどうかは「それが好きかどうか」にかかっています。極論を言えば、私は子どもたちが野球以外の道に進んでもいいと思っています。好きなものを見つけ、探究心を持ってとことん追求した経験は、将来社会に出た時に絶対に役に立つからです。卒部した教え子たちから「あの時の経験が自分の血肉になっています」と報告をもらえることが、指導者として一番の喜びですね。
好きなものを見つけ、夢中で追いかけた経験は、
野球の枠を超えて将来の財産になる。
野球を続けることだけが正解ではない。
「好き」を見つけて追求する力を育てたい。
目先の結果だけではなく、その子が将来どんな道へ進んでも活きる力を育てること。
それが、町田玉川学園少年野球クラブが多くの子どもたちに選ばれる理由の一つなのかもしれません。
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