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【K.O.H ピッチングコーチ インタビュー】最先端機器×自然環境で育む選手の適応力。指導の根底にある「主役は選手」の信念

【K.O.H ピッチングコーチ インタビュー】最先端機器×自然環境で育む選手の適応力。指導の根底にある「主役は選手」の信念

岩手県花巻市にある最先端の野球施設「K.O.H(King of the Hill)」。メジャーリーガー・菊池雄星投手が関わるこの地で、ピッチングコーチとして幼児からプロ選手まで幅広い層の指導にあたるのが河内山拓樹さんだ。

 

東京の有名施設「NEOLAB」から東北へと拠点を移した河内山さんに、環境の変化がもたらした新たな指導アプローチや、菊池投手とも共鳴した揺るぎない指導哲学について話を伺った。

 

 

――まずは、K.O.Hでの現在の仕事内容について教えてください。

河内山: 今はK.O.Hのピッチングコーチとして、主に投げる技術のところを見させてもらっています。また、動作解析から指導にどう繋げるかという部分を、アドバイザーの先生たちと一緒に仕組みづくりから取り組んでいます。

具体的な活動としては、個別の指導やチームへの出張指導のほか、毎日夕方からは幼児・小学生・中学生のクラスで子どもたちに野球を教えています。

 

 

――前職である東京のNEOLABにいた時と比べて、指導へのアプローチに変化はありましたか?

河内山: 大きく変わった部分がありますね。僕の基本的なスタンスとして「今ある環境での最大値を求める」ことを大事にしています。

今の施設では動作解析ができるようになり、以前は見えなかった数字を細かく見られるようになりました。その解析結果をどう指導に活かすかという部分で、新しい発見がたくさんあります。

 

 

――花巻市に来たことで感じる難しさはありますか?

河内山: 東京だと午前中に大学生が電車でふらっと来て帰るようなことがありましたが、ここは車がないと来られません。

近隣の県からでも車で1時間半から2時間かかり、それを毎回通うというのはなかなか難しい。その「地理的なハードル」については、最初は困惑しましたし、今でも苦労している部分ではあります。

 

 

――それでもアプローチの幅は広がったと思います。現在の指導内容で具体的に変わった点はどこでしょうか。

河内山: 以前は自重を使ったトレーニングがメインでしたが、今はウォーターバッグを使って不規則な刺激に耐える練習を取り入れたり、あえて地面が整っていない環境を設定し、そこで練習することを促したりしています。ベースを作りつつも「変化に対応できる力」を養うことを重視しています。 

毎回試合の球場も違えば天気や体調も違う中で、その変化に適応できないと実際の試合でパフォーマンスを発揮できません。「前と同じように投げているのに球が遅くなった」というようなマイナスな変化に対する適応力を、様々な環境や道具を使うことで高めようとしています。これは施設が広くなり、自然も豊かになったことで気づけた部分ですね。 また、計測が全てではなく、選手一人ひとりを良くするための手段やアプローチが増えたのも、この環境だからこそだと思います。

 

――東京から岩手へ来るという大きな決断でしたが、来てみて良かったと感じていますか?それとも葛藤がありましたか?

河内山: もちろん葛藤はありました。ただ、僕の信念として一番大事なのは「選手が良くなるかどうか」です。

コーチやトレーナーはあくまで裏方であり、主役ではありません。選手がどう人生を豊かにできるか、その手助けとしてレールを少し引いてあげるのが僕らの役目だと思っています。

その考え方が、オーナーである菊池雄星さんとも合致したんです。実家の敷地にビニールハウスを建てて独立しようとしていたタイミングでK.O.Hのお話をいただき、この道へ進むことを決めました。

 

 

――子どもたちにとって、プロレベルの選手と同じ施設で学べるメリットは大きいですね。

河内山: とても大きいですね。プロのすごさを「リアルな数値」で体感できるのは計り知れない価値があります。

「同じ機械で測っているのに、あの選手は155キロ出ている」「回転数が3000回転いく」といった現実を目の当たりにすることは、ただ画面越しに見るのとは全く違う衝撃を与えてくれます。

 

 

――最後に、河内山さんの中での今後の目標やビジョンを教えてください。

河内山: 壮大な話かもしれませんが、「日本人の価値を上げたい」という思いを持っています。たまたま関わったのが野球なだけで、K.O.Hで学んだ思考の作り方や習慣、物事の進め方が、子どもたちが社会に出た時に活きてほしいんです。

子どもたちが将来メジャーリーガーにならなくても、たとえ野球を辞めたとしても、ここで得た経験が彼らの人生を豊かにする。

その結果として、日本人の価値や野球の価値が上がり続けていけばいいなと願っています。そのためにも、時代やシステムが進化する中で、僕自身も現場で選手のためにできることを変わり続けながら探求していきたいです。