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【少年野球】親の「忘れ物届け」は禁止。全国を回る野球講演家が語る、子どもを伸ばす“ブレない”チームの作り方

【少年野球】親の「忘れ物届け」は禁止。全国を回る野球講演家が語る、子どもを伸ばす“ブレない”チームの作り方

少年野球の現場で、指導者や保護者が抱える悩みは尽きない。「体験会を開いても人が集まらない」「どう指導すればいいか分からない」――。そんな現場のリアルな課題に対し、全国の少年野球チームを巡り、独自の視点で熱いメッセージを送り続ける野球講演家・年中夢球氏が、球縁交流会に登壇。強豪チームから楽しむチームまで、数多くの現場を見てきたからこそ分かる「本当にいいチームの条件」について熱弁を振るった。

「方針がない」のが一番のNG。SNS発信の落とし穴とは

「そもそも『いいチーム』の定義は、皆さんによってバラバラなわけじゃないですか」

年中夢球氏は、参加した指導者や保護者にそう語りかけた。朝から夕方までガッツリ練習をして全国優勝を目指すチームもあれば、練習は短時間で勝敗に関係なく全員が出場して楽しむチームもある。どちらも「あり」だとした上で、一番の問題は「方針がそもそもないチームが実はいっぱいあることだ」と指摘する。

「『野球の楽しさを教えます』と皆さん言いますが、『どうやって教えるんですか?』と聞くと詰まるんです。方針がなければ練習メニューも変わってきます。1年ごとに監督が代わり、方針も『今年は楽しく』『今年は厳しく』とコロコロ変わるのは、揉め事の最大の原因です」

チームの方針が曖昧なままでは、どれだけSNSで発信しても人は集まらないという。

「体験会をやっても人が来ないなら、一度止めてください。問題は中身です。インスタグラムで『今週の予定』や『試合結果』ばかり載せているチームがありますが、入ろうとしている人には何の効果もありません。『千葉一、笑顔が多いチーム』でも『神奈川一、ゆるいチーム』でもいい。自分たちのチームの強み(方針)を明確にし、それに合った発信をしなければ、人の心は動きません」

野球「を」教えるのではなく、野球「で」教える

年中夢球氏の指導の根底にあるのは「自立と自主性」だ。「野球の技術も教えますが、私は野球を『教えている』のではなく、野球『で』人生に役立つことを教えている感覚なんです」と語る。

例えば、多くのチームで言われる「カバンを綺麗に並べなさい」という指導。子どもたちに理由を聞くと「強そうに見えるから」といった形ばかりの答えが返ってくるという。

「私は『心のウォーミングアップ(0回)だ』と教えます。カバンを並べる時に、自分のカバンだけでなく隣の仲間のカバンが曲がっていることに気づけるか。気づけない視野の狭さは、試合中のプレーにも必ず出ます。私生活と野球はイコールで結ばれているんです」

言葉遣いにも厳しい。「えーと」「微妙」「無理」「終わった」といったネガティブな言葉や、思考が止まっている言葉はNGだ。普段からの言葉の癖が、一瞬の判断を争うプレー中の迷いに直結するからだという。

親が子どもの「失敗して謝る機会」を奪っていないか

現代の少年野球において、年中夢球氏が強く警鐘を鳴らすのが「保護者の過干渉」だ。年中夢球氏のチームでは、親が子どもの忘れ物をグラウンドに届けることを禁止している。

「学校に遅刻しそうだから車で送る、忘れ物をしたから親が届ける。これらは、子どもが『ごめんなさい』と謝る機会、恥をかく機会を親が奪っているんです。人間だから失敗はします。その時に自分で謝れるかどうかが重要なんです」

ある日、ベルトを忘れた選手がいた。「親が届けるのは禁止」というルールのため、その選手は泣きながら走って家まで取りに帰り、また泣きながら戻ってきたという。

「後日、お母さんから『実はあの日、忘れ物にすぐ気づいていました。でもチームのルールだからずっと待っていたんです』と言われました。そして、『今までパパッと準備していたあの子が、前日の夜と当日の朝、2回ちゃんと確認するようになったんです』と。あの日、あの子は辛かったと思いますが、将来のために何が一番良いことかを考えるべきです」

「低学年だから」は指導者の免罪符にならない

また、現場でよく耳にする「低学年だから」「女の子だから」という指導者の言葉も、年中夢球氏は一刀両断する。

「砂いじりをしている低学年の子を注意すると『まだ低学年なんで』と庇う指導者がいます。でも、低学年だから人の話を聞かなくていいわけがありません。低学年でも、水筒やグローブを綺麗に並べることはできます。指導者が努力を怠り、勝手に『低学年だから』と諦めているだけです。女の子だからと緩いノックを打つのも、それは配慮ではなく差別です」

指導者の役割とは何か。年中夢球氏のチームでは、キャプテンも「野球が一番上手い子」ではなく「一番一生懸命やる子」を選ぶという。そして、指導者たち自身にも「バントコーチ」や「礼節コーチ」など細かく役割を与え、チーム全体に責任とやりがいを持たせている。

「強いチームを作りたければ、勝利か成長かではなく、両方を取りに行ってください。勝利を目指す延長線上にしか成長はありません。そのためには、試合と同じ緊張感を練習の中に意図的に作り出すこと。そして想定外をなくす準備をすることです」

子どもたちの自立を促し、時には厳しい言葉も投げかける。しかしその根底には、野球というスポーツを通じて社会を生き抜く力を身につけてほしいという、年中夢球氏の揺るぎない愛情と哲学があった。

 

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